Webサイト制作前にお客様へ確認しておくべき16の項目

Web制作の仕事をしていると、Webサイト制作に関わった事のない営業の方から、お客様に「ホームページを作りたい」と言われたけど「何を確認すればいいの?」という質問を受けます。
Webサイトによって確認事項は様々ですが、共通して確認すべき事項はあります。今回は、Web制作の依頼を受けてから、見積りやスケジュールを出すために確認しておきたい事についてまとめました。

目的|タイプ|ボリューム|納期(期間)|動的機能|サーバー|ドメイン|スマホ対応|コーディング|SEO対策|納品形態|更新(CMS)|広告費|SSL化|支給データ|解析

1.目的

そもそもですが、何のためにサイトを作るのか?Webサイトで解決したい課題は何か?根本的な質問ですが、最適なWebサイトをご提案させて頂くためにWebサイトの目的を共有してをおきます。また、サイトの目的がいくつかある場合は、デザインの見せ方や、スケジュール、予算配分を決める目安として、目的の優先順位を決めておきます。
目的達成のためには、Web制作が最優先でない場合(Webを活用するより優先すべき施策がある場合)もありますので、お客様の問題解決につながる最善の方法は何かを広い視点で検討します。

2.タイプ

Web制作には様々なタイプがあります。
自社ECサイトの開店、お問合せ窓口や資料請求のためのランディングページ、お客様が運用中の現行サイト内の追加ページ制作、コンテンツマーケティングのためのブログ構築など…。よくよく聞いてみるとWeb広告用のバナー制作の依頼だったりする場合もあります。
お客様の方で、こんな感じのページにしたいという、参考となるページ(のURL)があると、完成イメージの共有がスムーズになります。

3.ボリューム

リニューアルの場合は、トップページ、カテゴリーページ、下層ページ数などサイトのボリュームと構成の概要が、ある程度想定できます。
また、Webページは縦方向へのサイズの制限がないので、単体ページのボリューム感をお客様にお尋ねする際は「A4サイズの原稿にすると何ページ分くらいになりますか?」という感じでお聞きしています。

4.納期(公開期間)

Webサイトの公開日時を確認します。公開日やデータ納品日から逆算して、各工程のスケジュールを算出します。
公開日時が深夜や土日など、勤務時間外であれば、泊まり込みでの作業や、休日出勤が必要になるケースもあります。他の施策(CM公開など)とのタイミングと合わせて、公開日時が厳密に決まっている場合は、サイトへのデータアップ方法として、タイマー機能を設置するなどプログラムの設定が必要になる場合もあります。

5.動的な機能

Webページとサーバーとの間でやりとりが行われる機能が必要か確認します。
特に動的な機能が必要になるとプログラマーの作業工数や、動作の検証作業が増えます。
動的な機能とは、サイトの見た目上の動き(マウスオンするとボタンの色が変わるとか、サイト内リンクをスルスルっとした滑らかな動きにしたいとか)ではなく、会員制サイトのログイン機能や、ECサイトのカート機能、登録フォームなど、ユーザーとサーバーの間で何らかのやりとりが発生する機能のことになります。
サイト上で実現したい仕組みや機能について動的なページが必要になるか、コーダーやSEなど、専門知識のある方に確認をとる必要があります。

6.サーバー

サーバーはデータの保存場所です。インターネット上に家(Webサイト)を建てる際の「土地」のようなものです。
お客様で既にお持ちのサーバーを使うか?新規にサーバー契約するのか?確認します。
レンタルサーバーの場合、契約更新の手続きが必要なので、運用業務に関わります。更新忘れ(期限切れ)でサイトが見れなくなるというトラブルにならないように管理者を明確にしておきます。
サーバーは容量などのスペックにより、利用料金が変わります。リーズナブルで評判の良いレンタルサーバーとして、さくらインターネットやX-serverが有名です。

7.ドメイン

インターネット上の「住所」のようなものです。既存のドメインを使うか、新規にドメインを取得するかを確認します。
サーバーと違い、ドメインはどこで取得しても変わりません。独自ドメインを取得することによって、サーバーを変更することになっても、ドメイン(URL)が変わらず、それまでのアクセスを引き継ぐことができます。サーバー同様に更新手続きが発生します。サーバーとドメインは同じところで管理されると更新忘れの防止にもなります。

8.スマホ対応

スマホやタブレットなどデスクトップより、画面の小さいデバイスで見たときにも見やすくなるよう最適化(デザインレイアウトの切り替えを)するかを確認します。
レスポンシブデザインなどによる、スマホ対応は、ユーザービリティだけでなく、SEOの観点からも重要になっています。スマホでWeb検索するユーザーの割合がデスクトップを上回り、Googleがスマホ最適化(モバイルフレンドリー)されていないWebページは検索順位に影響がでると発表していますので、集客の面でも影響があります。
デザインやコーディングを、スマホ用にも制作する場合の費用として、PC用のみの制作時と比べて1.5〜1.8倍の費用がかかるのが相場となっているようです。

9.コーディング規約

お客様の方でコーディングの規定があるか確認します。ファイル名やディレクトリ名の付け方、htmlやcssの記述方法などについて、大企業になると数十ページにわたるマニュアルに従ってコーディングする必要がある場合もあり、その内容を把握するだけでも、かなりの時間をとられてしまいます。コーディング規約に沿ってコーディングするか、しないかによって、コーダーの作業時間やコーディング費に影響がでてきます。

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10.SEO対策(head情報)

表面的には見えない部分ですが、meta情報、各種タグの挿入など、head内に記述する情報を確認します。
この情報が設定されていないからといって、サイトが表示されないということはないのですが、SEO対策やSNSでシェアするときの表示に関わるOGP設定、アクセス解析や有料広告に使われる計測タグの設置が必要な場合は、公開前にhtml内に挿入して、正常に計測(表示)できるかテストする必要があります。

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11.納品形態

納品するデータの種類を確認します。
Webページのデザインのみの仕事であれば、フォトショップや、イラストレーターで制作したデザインデータを納品します。データがRGBでピクセル単位で作られていることは勿論ですが、ファイル名やレイヤー名も誰が見ても分かりやすい名称をつけましょう。
htmlやcssなどのコーディングデータの場合は、お客様でアップされるか、弊社でftpなどを利用してアップするかを確認します。お客様専用のCMSなどの管理システムからアップする場合などは、事前に管理画面内の操作手順を確認することが必要になってきます。

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12.更新(CMSの有無)

サイト公開後にページの追加や更新作業が発生するか確認します。
Web制作会社に更新を任せる場合は、更新作業内容の確認と更新費用の見積りが必要になります。htmlなどページ制作の専門知識がない方が更新する場合は、誰でも管理画面からページの更新ができる仕組み(CMS・コンテンツマネージメントシステム)を前提としてサイト構築する必要性がてできます。WordPressなどのCMSで構築する場合は、サーバーのバージョンやテスト環境を事前に確認します。
更新に関わる環境は、更新作業をする担当者のWebスキルによって決まります。

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13.広告費

Web制作の予算として、デザイン費、コーディング費、サーバー代など、制作に関わる構築費の予算は勿論ですが、サイト公開後の告知方法についても、予算をとって検討されているかお聞きします。特に、新規に立ち上げるサイトでは、すでに有名なブランドや企業など告知をしなくても自然検索からの訪問が見込める場合などを除き、リスティング広告などの有料広告を行わないと、公開の初期段階では、訪問が見込めませんので、Web広告の運用も受ける場合は広告予算についても確認します。

14.SSL・個人情報取扱い

SSL化しているサイトは、URLの先頭にあるhttpがhttpsとsが付いています。httpsのsはsecure(セキュア)のs。セキュアとは「安全な」という意味です。
Webページを見る時、サーバーとユーザーのパソコン(スマホ)の間で、データ(情報)が、やり取りされますが、httpだとその情報を第三者から見られる恐れがあり、SSL化すると通信データが「暗号化」されて、第三者からの閲覧や改ざんから守られます。
Webページを見るだけなら良いですが、パスワード入力してログインしたり、クレジットカード情報を入力するページ、
問い合わせフォームなどでは、第三者から通信情報が見られると問題なので、個人情報を不正アクセスから守ることが必要になってきます。SSL化は個人情報を暗号化して、個人情報の漏洩を防止し「このサイトはお客様の情報を守り、安全です!」と宣言していることになると同時にセキュリティ面のアピールで、ユーザーに安心感、信頼感を与えます。

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15.お客様からの支給データ

既にあるカタログなどの印刷物からWebページを制作するときのは、データとして支給してもらえるかを確認します。支給頂けるデータの有無により、写真撮影や、文章・コピーのライティング、ロゴ、イラストの書き起こしなどの制作範囲を確認します。

16.アクセス解析

公開したサイトへの訪問数や見られたページなどのアクセスレポートが必要になるか確認します。サイトの集客効果や、公開後のサイト改善資料として、アクセス解析によるサイト分析は重要となります。

まとめ(確認事項一覧)

最後に確認事項を一覧にしました。
「1.目的」から「5.動的な機能」までは、出来るだけ確認しておきたい事項、「6.サーバー」から「16.アクセス解析レポート」までは、初期段階では確認できなくてもサイト制作は進行できる事項になります。ヒアリングシートなどの作成の参考にされてください。

1.目的 目的と優先順位の共有
2.タイプ 参考にしたいサイトのURL
3.ボリューム A4サイズの原稿で何ページ分か?
4.納期 Webサイトの公開日時
5.動的な機能 コーダーやSEなどに確認
6.サーバー どのサーバーを使うか
7.ドメイン 既存ドメイン内か、新規取得か
8.スマホ対応 スマホ最適化するか
9.コーディング規約 お客様にマニュアルがあるか
10.SEO対策(head情報) 各種タグの指定があるか
11.納品形態 納品するデータの種類
12.更新(CMSの有無) 更新(運用)はどこでやるか
13.広告費 広告予算があるか(広告運用を請け負うか)
14.SSL・個人情報取扱い SSLを取得するか
15.お客様からの支給データ 支給データの有無と制作範囲を確認
16.アクセス解析 レポート提出が必要か

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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